二台のハヤブサは、どんどん加速している。

現在時速180キロ。

最早首都高速の制限速度を遥かに超過している。

一般車両が怯えたように、道を譲る。

その間を縫うようにして走る二台のハヤブサは。

「くぅっ!」

並走しながら打撃戦を繰り広げていた。

この速度で並走しながら近接戦闘を行うとは前代未聞だ。

天罪星の蹴り技と、天損星のトンファーが同時に松岡を襲う。

トンファーは何とか片腕での受けで止められるが、蹴りまでは防げない。

蹴りをバイクの車体に受ける度に、大きく挙動が乱される。

時速180キロで転倒などしたら、骨折程度では済まない。

ましてや松岡は、ヘルメットすら被っていないのだ。

路面に叩き付けられては一溜まりもないだろう。