睨み合う亮二、松岡、伊庭。

暗殺者とは孤高の生業だ。

討つべき敵が同じであっても、嘗ての敵と手を組む事はない。

利害が一致していようと、その方が己に有利に働こうと。

何故か。

『他者を頼りにする事は弱さに繋がるから』

背中を守る他者がいる事は、実に頼もしい。

心から背中を預けられる仲間がいれば、どんなに心強いか。

その頼もしさ、心強さ故に、いなくなればそれが弱点となる。

一度味わった頼もしさ、心強さは、そう簡単に忘れるものではない。

忘れられないが故に、弱さとなる。

だから暗殺者は、組まない。

亮二も松岡もそうだ。

敵ではない。

だが、アテにはしていない。