紅林殺害の報は、翌日の新聞やニュースで大々的に報じられた。

当然だ。

過去はどうあれ、紅林は自衛隊の幹部。

それが駐屯地の司令室内で殺されていたとあっては、陰謀論や暗殺説が持ち上がるのは自然な流れ。

警察も殺人事件として捜査を開始している。

そんな情報をBarムーンライトで耳にし、亮二は今日も店のカウンターで黙々と仕事をしている。

彼の表の顔はバーテンダーだ。

殺人事件や暗殺とは無縁。

そう、自分は無関係なのだ。