以前戦った時は、あんな鋼線など持っていなかった筈。

攻め手を増やした亮二に、伊庭は油断ならないものを感じる。

やはり亮二は、伊庭が過去に相手してきたどんな標的よりも手強い。

彼が知る中で最強の、しかし最も仕留める価値のある標的。

それに、相手の動きを封じる技術を持つのは、亮二だけではない。

数十合の交錯の最中。

伊庭と擦れ違い様に切り結んだ亮二は。

「っ!?」

突然足を引っ張られるような感覚を覚えて動きを止める。

見れば、足首に絡まる蔦。

樹海に自生するものが足に絡まったか。

いや、偶然ではない。

動きを止めた亮二に対し、伊庭は次々と樹海の蔦を放つ!