亮二とて防戦一方ではない。

「!」

伊庭の背後から風切り音。

同時に、足首に鋼線が巻き付き、伊庭の体を逆さ吊りにする!

この高速でのやり取りの最中、鋼線を使用したトラップを仕掛けるとは、亮二も抜け目ない。

まんまと伊庭を捕らえ、接近してアイスピックで仕留めようとする亮二だが。

「っ!」

伊庭は素早く刀で鋼線を切断し、亮二のアイスピックを躱す。

極細ながら、車一台を吊り下げる事も可能なほどの強度を持つ鋼線を切断するとは。

あの刀、どれだけの業物なのか。

その銘刀ぶりに、亮二は驚愕していた。