走り続け、路地裏に逃げ込む。

山火事の混乱もある。

この機に乗じて逃げられるだろう。

「松岡さん…」

呼吸を整え、亮二は松岡の顔を見た。

「今まで何をやっていたんです」

「細けぇ事ぁいいじゃねぇか。そう責めんなよ、俺だってお前と合流しようって一生懸命だったんだぜ?」

面倒臭そうに頭を掻きながら、松岡は言う。

生来の面倒臭がりだ。

こういう追及は煩わしいのだろう。

亮二もまた、彼とは短い付き合いだが、裏で何かを画策するような性格ではないのは知っている。

裏表のない明け透けな性格。

ある意味暗殺者には向いていないキャラクターだ。

別行動をとっている間に敵と内通していたという事はないだろう。