Assassins

「準備体操ぐらいさせろって言ったのが聞こえなかったのか…?」

張り手を押し付けられたまま、松岡は前に出る。

「ぬ、ぐ…」

松岡の顔面を押し返す地悪星。

その巨体、その腕の太さだ。

剛力である事は言うまでもない。

しかしその地悪星を、松岡は更に押し返しながら前に出る。

地悪星の巨体が、少しずつ下がっていく。

ふと、ミリミリと音が聞こえた。

松岡のレザーグローブを付けた左拳が、握り締められている。

音を立てるほど硬く硬く。

その拳を見て、暗殺者である地悪星が戦慄する。

あの拳は、『素手じゃない』。

…無論素手だ。

レザーグローブを付けただけの、素手の拳。

だが地悪星には、松岡の拳がまるで凶器のように見えた。