背負った刀を抜き、刺突の構えをとる伊庭。

言葉もなく、微かな殺気を滲ませる。

こうして相対して尚、殆ど殺気を感じさせない辺りは超一流。

地耗星などとは格が違う。

面前にいれば気配など関係ないと思いがちだが、殺気の有無は攻撃の回避にも影響してくる。

殺気なき一撃というのは、僅かに見失っただけで全く察知できなくなるのだ。

殺害のその瞬間まで殺気を絶てるというのは、超一流の暗殺者にしかできない事だった。

そういう点では、伊庭は亮二がこれまで相対してきた敵の中でも一番の強敵だった。

逃げられそうにない。

ここで決着をつけるか。

「……」

亮二は密かにアイスピックを逆手持ちに握る。