それでも、追っ手は亮二を見逃すような事はしない。

「!」

木々から葉擦れの音がする。

枝から枝へと飛び移る音だ。

相当接近されて、初めて亮二はそれに気付いた。

気配の消し方一つで、その暗殺者の腕前はある程度分かる。

地耗星とは違い、かなりの手練れのようだ。

何とか撒こうと速度を上げるも、つかず離れずの距離を保ったまま追跡してくる追っ手。

やがて追っ手は。

「!!」

亮二を追い抜き、目の前に着地して姿を現す。

それは、枯葉色の装束を纏った隠密。

「伊庭 瑛士…」

教会で強襲を仕掛けて以降、姿を見せなかった伊庭が、再び亮二の前に出現したのだ。