生い茂る木々の間、絡みつく背の低い草の間、根の張る山道。

未舗装の山中でありながら、亮二の走る速度は尋常ではなかった。

まるで山の中に棲みついている獣だ。

追っ手の暗殺者達は、信じられないようなその亮二のスピードについて行くのがやっと、見失わないのがやっと。

しかしそれも、やがては徐々に引き離され、背中さえ見えなくなってくる。

枝葉に視界を遮られ、今にも撒かれてしまいそうだ。

見失ってはならない。

絶対に見失ってはならない!

追いかける事に夢中になっていた数人の追っ手達は。