火傷を冷やし、亮二は立ち上がる。

(一つ、二つ…いや、まだか)

振り返らないまま思考を巡らせる。

微かに気配が取り囲んでいるのが分かった。

気配を殺しているようではあるが、未熟なのか気殺までには至っていない。

腕の悪い暗殺者のようだった。

気付かないふりをして、ゆっくりと歩き出す亮二。

当然の如く気配もついて来る。

それを確認した上で。

「!!」

亮二は突然走り始めた!

小さく、くっ、と。

歯の隙間から漏れ出る声が聞こえた。

そんな声を漏らす辺りも、暗殺者としては三流だ。