イクメン作家と恋心。初期版。(修正済み&205ページ挿し絵有り)


「ほら、お前の分」

私の分のコーヒーを差し出してくれた。

「あ、ありがとうございます」

恥ずかしそうにコーヒーの入った
カップを受け取った。

すると先生は、もう1つの
小さい方のソファーに座り飲んだ。

よく考えたら、こんなに落ち着いて
先生と2人きりになったのは、初めてかも…。

来てもすぐに幼稚園のお迎えに行っていたし
その後は、睦月君も一緒だ。

(何か話しかけなくては……)

こういう時は、何を話しかけたら
いいのだろうか?

仕事のこと……あ、でも先日それで
怒らしたばかりだし
やっぱりプライベート?

「あ、あの…先生って本当に
イクメンですよね!?」

思い切って話しかけてみた。

「はぁっ?イクメン?意味が分からん。
何だよ……それ?」

眉を寄せる先生。

もしかして知らない?

「えっと…子育てに協力的な
お父様という意味らしいです。
幼稚園のお母様達もそう言っていました」

確か説明は、それでいいはず…?

だが先生は、

「別に当たり前なことをしているだけだろ。
父親なんだから」

そう呆れた表情で言う。

「いえ、何もしなく子育てに協力しない
旦那さんとか居るので先生は、
イクメンだと思います」

真剣な表情で言う。

まるっきり外見と違って、子育てに熱心で優しい。
その上に家事も仕事も完璧。

まるで、イクメンのお手本みたいな人だ。

「…そんな事はない。
母親が居ない分、どうしても変に我慢させたり
寂しい思いをさせている」

そう言った先生は、少し切ない表情をしていた。