「睦月君は、甘い物が好きなんですね?」

クスクスと笑いながら言うと隣に居た先生が

「あぁ、どうもかなり甘党で大食いな所は、
母親似らしくてな。まったく…」

ため息を吐くが
何だか嬉しそうな表情をしていた。

その表情を見たら
何だか胸が締め付けられそうになった。

先生は、睦月君に奥さんの面影を見ているように
感じたからだ。

やっぱり亡くなった今でも
奥さんの事が愛しているのだろう。

どんな人だったのだろうか?

そうすると睦月君がお菓子を持って
こちらに来た。

「それでいいのか?」

先生が言うと睦月君は、コクリと頷いた。

レジに向かう。
列に並びながらモヤモヤした気持ちで居た。

その気持ちは、やっぱり…。

「どうした?急に黙ったりして」

ハッ!!

先生の声にハッと気づいた。
いけない…ボーとしていたわ。

「いえ…何でもありません」

慌てて否定した。

私達の番になり、レジを支払ってもらう。
レジのお姉さんにお菓子を渡して貰い
睦月君は、ジッとお菓子を見つめていた。

先生は、支払いを済ませカゴを持ち移動する。

荷物を手早く買い物袋に入れているのを
私は、ぼんやりと見つめていた。

するとツンツンと服を引っ張る睦月君。

「どうしたのかな?」

するとお菓子を私に差し出してきた。

えっ…?

「う~ん。開けて欲しいのかな?」

そう尋ねるとコクリと頷く睦月君。
差し出してきたお菓子を受け取ろうとしたら先生が