結局まともに話を聞いてもらえず
帰る事になった。

うぅ……手強い。

睦月君とは、上手くやれそうな気は、するけど
先生は、大人だからなかなか難しい。

自宅のアパートに帰るとベッドにダイブする。

転がりながら今日のあった事を反省していた。
次は、失敗せずに上手くやりたい。

翌日、会社に行くと
部署に河合先輩が編集長と話をしていた。

「あ、河合先輩じゃないですか!?
おはようございます。
編集長もおはようございます」

「やぁ、おはよう。どうだい?
蓮見先生の担当になって、ちゃんとやっているか?」

優しい口調で笑いかけてくれた。

「河合先輩……」

もう河合先輩にすがりたい気持ちだった。

「おやおや。何があったのかい?」

先輩にあった事を全て話して
相談に乗ってもらった。

先生に叱られた事やサイン会をするのを
断られた事などを話し終わると
河合先輩は、苦笑いをしていた。

「どちらも相変わらずだねぇ~。
まぁ、そうなるだろうと予感していたけど」

えっ?
そうなると予感していたの!?

先輩の言葉に驚いてしまう。

「分かっていたのですか?
こうなること…」

「どちらもよく知ってるからね。
蓮見先生とは、かれこれ彼がデビューして
4年になろうとしているかな?
先生は、作家としてストイックだから
中途半端なやり方を嫌う。
それに報道陣とか、しつこいの嫌いだしな」

「でも、勿体無くありませんか?
あれぐらいの美形なら顔を出したら
もっと女性ファンが増えるのに……」

そうなれば、先生の素晴らしい作品が
もっと注目されるのに