何もしないのは、気が引ける。
やっぱり、せめてお皿洗いをしたいけど
また、割って怒られそうだし
どうしよう……。
そうしたら睦月君が私の服を掴み
ツンツンと引っ張ってきた。
「うん?どうしたの。睦月君」
そう言うと持っていた絵本を差し出してきた。
絵本?あ、もしかして
「この絵本読んでほしいのかな?」
そう聞き返すとコクリと頷かれた。
どうやら当たったらしい。
睦月君から絵本を読んでほしいと
おねだりをされて嬉しくなる。
これは、仲良く慣れるチャンスだ。
「いいわよ~じゃあ、読もうか」
絵本を受け取るとソファーの方に行く。
ソファーに座ると睦月君は、私のお膝に座ってきた。
ストーリーは『桃太郎』だった。
懐かしいわね……。
「むかしむかし。
あるところに、おばあさんとおじいさんが居ました。
おじいさんは…」
昔読んでもらっていた絵本を懐かしそうに読んだ。
睦月君は、一生懸命その話を聞いてくれた。
「となりましたとさ。めでたし、めでたし」
全部読み終わると睦月君は、
パチパチと拍手をしてくれた。
どうやら気に入ってくれたようだ。
そうすると先生がコーヒーを淹れて持ってきてくれた。
「あ、すみません。コーヒーまで…」
まさか、夕食を招待されただけではなく
淹れて貰えるなんて
「気にするな。
睦月に絵本を読んでくれた礼だ」
睦月君にもジュースが入ったコップを渡すと
自分もコーヒーを飲み出した。
それを聞いた時に意外と律儀というか
優しいと思った。
冷たく言い放つのは、
ただの照れ隠しだからだろうか?
それとも、言っていた通り
行き詰まっていたから
機嫌が悪かっただけだろうか?
「そういえば、小説どうするんだ?
次の作品に対して希望とかあるのか?」
先生に逆に質問してきた。



