イクメン作家と恋心。初期版。(修正済み&205ページ挿し絵有り)


何もしないのは、気が引ける。

やっぱり、せめてお皿洗いをしたいけど
また、割って怒られそうだし

どうしよう……。

そうしたら睦月君が私の服を掴み
ツンツンと引っ張ってきた。

「うん?どうしたの。睦月君」

そう言うと持っていた絵本を差し出してきた。

絵本?あ、もしかして

「この絵本読んでほしいのかな?」

そう聞き返すとコクリと頷かれた。

どうやら当たったらしい。

睦月君から絵本を読んでほしいと
おねだりをされて嬉しくなる。

これは、仲良く慣れるチャンスだ。

「いいわよ~じゃあ、読もうか」

絵本を受け取るとソファーの方に行く。
ソファーに座ると睦月君は、私のお膝に座ってきた。

ストーリーは『桃太郎』だった。
懐かしいわね……。

「むかしむかし。
あるところに、おばあさんとおじいさんが居ました。
おじいさんは…」

昔読んでもらっていた絵本を懐かしそうに読んだ。

睦月君は、一生懸命その話を聞いてくれた。

「となりましたとさ。めでたし、めでたし」

全部読み終わると睦月君は、
パチパチと拍手をしてくれた。

どうやら気に入ってくれたようだ。
そうすると先生がコーヒーを淹れて持ってきてくれた。

「あ、すみません。コーヒーまで…」

まさか、夕食を招待されただけではなく
淹れて貰えるなんて

「気にするな。
睦月に絵本を読んでくれた礼だ」

睦月君にもジュースが入ったコップを渡すと
自分もコーヒーを飲み出した。

それを聞いた時に意外と律儀というか
優しいと思った。

冷たく言い放つのは、
ただの照れ隠しだからだろうか?

それとも、言っていた通り
行き詰まっていたから
機嫌が悪かっただけだろうか?

「そういえば、小説どうするんだ?
次の作品に対して希望とかあるのか?」

先生に逆に質問してきた。