「あの……お言葉を返すようですが
違うと思います。
先生は、心の底から奥様を愛しています。
ずっと、ずっと…今でも忘れずに。だから」

胸を苦しくなる。

でも、伝えなくちゃあ…。

「先生にココまで愛されている
奥様は、幸せ者です!
こんないい子で可愛い息子を産まれたし
病気は…残念でしたが
先生のせいではありません」

誤解をしたままなんてダメよ!

ちゃんと和解して欲しい。
例えお父様が亡くなられた後だとしても

「小野木……」

他人の私が言う事ではないけど…。

「えぇ、分かっているわ。主人も」

えっ!?

驚いてお母様を見る。

「藤崎君は、ずっと私達に書いた小説と
睦月君の成長姿した写真を送り続けてくれたわ。
主人は、読まないと言い続けていたけど
私知っているの。
必死に隠しているけど
藤崎君が書いた小説を夢中で読んでいたのよ!」

そう言って教えてくれた。

「えっ……?」

驚く先生。私も驚いてしまう。

お父様は、先生の小説を読んでくれていた…!?

「フフッ…いつも小説の発売前日に
送ってくれるから。
その日になるといつもそわそわしながら
郵便屋さんが来るのを待っていたぐらいなのよ。
睦月君の写真を持ち歩いてるのも知っているわ。
あの人は、変な所で頑固というか素直ではなくて
だから、許してあげてほしいの」