イクメン作家と恋心。初期版。(修正済み&205ページ挿し絵有り)


報道陣も新人賞を取った岩神さんの方に
気をとられ始めた。

すると岩神さんは、インタビューに応えながら
背中越しから合図をしてくれた。

多分行けという意味だろう。

よし。
私は、睦月君を抱っこしたまま
大急ぎでアパートまで走り階段を登って行く。

報道陣は、私達に気づいてしまったけど
岩神さんが行かせないようにしてくれたので
無事に部屋に入る事が出来た。

ドアを閉めて鍵をかけると
ハァッ…としゃがみこんだ。
命拾いした気分だわ。

「……お姉ちゃん…大丈夫?」

睦月君が心配そうに私を見てきた。

「大丈夫よ。巻き込んじゃってごめんね。
すぐに荷物をまとめたらホテルに戻ろうね!」

ニコッと笑うと立ち上がった。

とりあえず早く荷物をまとめなくては……。

足止めしてくれてる岩神さんに申し訳がないわ。

すぐさま大きめのカバンを取り出し
荷物を押し込んだ。

(えっと…服とスカートと下着と…それから)

すると睦月君は、スマホの充電器と
菓子パンとスナック菓子を差し出してきた。

「あ、ありがとう。睦月君」

私は、それをカバンに押し込めた。
ギュウギュウだけど、何とか押し込め終わると
様子をうかがいながら、こっそりと出た。

しかし思ったより荷物が重い。
階段の下を見るとまだ報道陣が居て
岩神さんと話をしている。

気づかれないようにおりなくては……。

そう思っていたのに

ガランッ ガタガタッ…。

誤って荷物を階段から転がり落としてしまった。

あぁ、荷物が!?

勢いよく下まで落ちると
報道陣は、私と睦月君に気づいてしまった。