「とにかく手に持っている
アイスをさっさと食べてしまえ。
もたもたしてるとまた、垂れるぞ」

「は、はい。」

慌てて残ったソフトクリームを舐める。

垂れながらも何とか全部食べることが出来た。

すると先生は、
ポケットサイズのウェットティッシュを
取り出して
私の手を拭いてくれた。

「ったく…お前は、ガキかよ」

ブツブツと言いながら拭いてくれる。
その時に握られた手は、温かくて優しい。

ポロっと涙が溢れてくる。

あれ?泣くつもりなんか無いのに…。

「おい。何で泣いているんだよ!?
やめろ…俺が泣かしたみたいだろ」

泣いた顔を見て先生は、少し焦った表情する。

「す、すみません。
すぐに引っ込めますので」

そう言って涙を止めようとするのだが
コントロール出来る訳ではないので
上手くいかない。

恥ずかしさや情けなさで
余計に涙が溢れてきた。

「もういいから、これで拭いておけ。
それと睦月…俺をそんな目で見るんじゃねぇ!?」

私にハンカチを押し付けながらそう言ってきた。

睦月君を見ると何か言いたそうに
ジッと見つめていた。

なんというか…しっかりしてよって
呆れて見ているような感じ?

フフッ…何だか笑えてきた。

「おい。今度は、笑うなよ!?」

「すみません…フフッ…」

ダメだ…また笑ってしまう。

「ったく…で?なんだよ。
泣いたからには、理由があるんだろ?」

頭をかきながら尋ねてくる先生だった。