「ねー、結美ー、知ってる?通学路にある『星見橋』にまつわるジンクス!!」

ある日の放課後、私の幼馴染みの恵は今日も賑やかだ。

「う~ん、知らないな…。」

こういった話に疎い私はいつも恵の問い掛けに対し、「知らない」としか返せない。
「え~?この話も知らないの?結構有名なのに…」

「マジで知らない…。でも、恵のことだからまた恋愛の話なんでしょー?」

「あったり前じゃん!こういうの、1つは知ってた方が得するよ?」

「何に役立つのさ…」

「もー、そんなんだから結美は好きな人もできないんだよ?」

「うっ…仰る通りでございます…」

そう。私は生まれてこのかた、“好きな人”という人が出来たことがない。

「でも逆にすごいよ。中2にもなって好きな人どころか、恋愛にほぼキョウミなし!」

「いや、一応キョウミはあるんだよ?だけど、何て言うか…」

「話に乗り遅れるわけね」

「そうなんだよ…。好きな人居ないせいか、恋愛話されないしね…。それで、ジンクスって、何?」

「あぁ、そうだった。よーし、ここは恵ちゃんが結美のためにがんばっちゃうよ!ちゃんと最後まで聞いてね!!」

「その下り飽きた…」

「ひっどーい。いーじゃんっ!楽しいし~」

プクーっと頬を膨らませながら拗ねた顔をする恵。

だってこれ、毎回やってるし…

「ごめんごめん。で、どんな話なの?」

「そーだった!それがね…」

恵の話はこんなものだった。