キミ色の夏



「痛っ……」



腕がちぎれるんじゃないかってくらいに、剛くんの力に容赦はない。


何もかもが平凡な私は、当然 体力測定の値も平凡だ。

ううん、平均以下かもしれない。


そんな私が剛くんに勝てるわけなんてなくて、逃げられるわけもなかった。



「離してっ……」

「うるさいな、黙れよブス」

「……っ……」



ビックリするくらいに冷たい声。

表情はよくわからないけれど、チラリと見えた瞳もまた凄く凄く冷たいものだった。



「お前がアイツらに聞いた通り、俺は人の女を奪いまくってたよ」



バッ と掴まれていた手が離され、私の体は男子トイレの中に投げ出された。

壁に激突して、肩が痛む。



「だってさ、楽しいんだもん」

「……たの、しい……?」

「奪われた奴の顔、最っ高に面白いんだぜ? あの絶望した時の顔、ほんっと笑えるし」


「……」

「女が堕ちた時の顔も笑えるんだよなぁ。
最初は彼氏の名前を呼びながら『ごめんね』って言ってるんだけど、そのうちどんどん俺に体を預けて よがりまくる。
ブッサイクな女ほど締め付けがよくて最高なんだよ」