ここに来るまでは、剛くんの言葉を信じようって思ってた。
剛くんの真剣な声を信じるって思ってた。
でも違う。
私は柚希くんのことを信じたいんだ。
だって私は、
柚希くんが好きだから。
「……俺じゃなくてアイツを信じるのか?」
「うん、私は柚希くんを信じる」
「そうか……俺の想いは、届かないのか……」
小さく息を吐き出した剛くんは空を見上げて目を閉じた。
流れる汗を拭うその顔には、微かな笑みが浮かんでいる。
「……本当にお前は、馬鹿だな」
「……」
「あんなクソ真面目な奴の隣に居るとか、頭おかしいんじゃない?」
「……え?」
ゆらり、剛くんが私に近づいた。
そして彼が私の方を見た瞬間……、
パンッ!!
……乾いた音が辺りに響き渡った。
「……っ……」
体がよろめいた直後、頬に感じる激しい痛み。
剛くんに叩かれた。
そう気付いた時にはもう、
私は腕を掴まれて引きずられていた。



