キミ色の夏



「兄貴、もう全部話そうよ」



と、床に座った瑞希くんが静かに言った。



「言う必要なんかないだろ」

「でも柳井は杉田の元・彼女だよ? 今後またアイツに絡まれると厄介じゃん」

「……俺がそんなことさせないから」


「柳井と四六時中一緒に居るわけじゃないし、『話しておけばよかった』って あとから後悔するよりマシだと思うけど」

「……」



……どういうこと?

二人はいったい何の話をしてるの……?



「あのね、柳井。 杉田は中学の時に兄貴の彼女を奪ったんだよ」

「……え?」

「まぁ、兄貴だけじゃなくて俺も奪われたんだけど。 とにかく、杉田はそういう奴だってこと」



柔らかな笑みを浮かべる瑞希くん。


……ねぇ、待って。

本当に意味がわからないよ。


剛くんが柚希くんの彼女を奪った?

それだけじゃなくて、瑞希くんの彼女も?


『そういう奴』って、なに……?



「おい、瑞希っ……」

「こういうことは隠さずに言っといた方がいいでしょ。
あのね、柳井。 俺も兄貴も、中学の時に付き合ってた子が居たんだ。
で、俺たちは杉田に彼女を奪われた。 ハッキリ言っちゃえば、寝取られた」

「……」


「俺たちだけじゃなくて、けっこー被害に遭ってる奴が居る。 こっちの中学じゃ程々に有名だから」