キミ色の夏



「えっと……杉田のこと、だけど」

「あ、うんっ……」

「昨日 柳井を送ったあとに杉田のところに行ったんだ。
で、柳井にはもう近づかないってことを約束させた。 だから今後は大丈夫だと思う」


「そ、そっか……」

「けど、またなんかあったらすぐに言えよ? 俺でも瑞希でも、どっちでもいいからさ」

「んっ……ありがと」



少しだけ、胸がズキッと痛む。


剛くんのことを思い出して……ではなく。


二人きりの時に剛くんの話を出してきたことに、だ。


ううん、剛くんの話は聞きたかったよ。

結局私、昨日も今日も、剛くんがどうなったのかは知らなかったから。


でも……今は聞きたくなかったな……。


だって私たち、こんなに近くに居るんだよ?


ドアは相変わらず開きっぱなしだけど、

柚希くんの部屋で二人きりなのは変わらない。


ベッドに座ってる私と、ベッドの前に立つ柚希くん。

ほら、こんなに近い。


なのに柚希くんは、やっぱりいつもと変わらない。

また私だけ、一人でドキドキしちゃってる……。



それに、名前のこともそう。

私はやっぱり『柳井』って呼ばれてる。


さっき初めて会った愛夏ちゃんは、私のことをすぐに『徳子ちゃん』って呼んでくれたんだけどな……。



柚希くんはこんなにそばに居るのに、

なんだか遠い。


一緒に居られる時間が凄く好きなのに、悲しくなっちゃうよ……。