「おい瑞希ー。 それで、何が500円なんだよ?」
「あぁごめん兄貴のこと忘れてた。 えっとね、500円くれたら いつでも俺がキスしてやるよーって、柳井に話したとこ」
「おいコラ待て。 なんでお前が柳井にキスすることになってんだっ」
「冗談に決まってるじゃん。 兄貴も柳井も、冗談の通じない人だなぁ」
「まさかお前っ、柳井になんかしたんじゃないだろうなっ!?」
「するわけないじゃん」
うわわっ、また兄弟喧嘩ッ!?
ていうかまた柚希くんが一人でヒートアップ!?
いやいやっ、その前にさっ。
彼女である愛夏ちゃんが近くに居るのに、
普通にキスの話をするのはどうかと思いますよ瑞希くんっ!?
「ゆ、柚希くん落ち着いてっ、私は何もされてないからっ!!」
慌てて二人の間に入り、チラリと愛夏ちゃんを見ると……あれ、笑ってる?
「あ、愛夏ちゃんは、その……キスの話が出てるのに、驚いたりしないの……?」
「うん、瑞希はこういう冗談が好きな人だから」
「そ、そうなんだ……」
……さすが、恋愛の達人の彼女さん。
瑞希くんのこと、なんでも知ってるんだ。
「それにね、瑞希は人の彼女を奪ったりなんてこと、絶対にしない。 それを知ってるから大丈夫」
ニコッと笑った愛夏ちゃんの顔を見て、気付く。
そうか……瑞希くんと同じ中学出身ということは、つまりは剛くんとも同じ中学……。
人の彼女を奪うとか、そういうセリフの根元には剛くんが居るんだ……。
瑞希くんは剛くんとは違う。
……うん、そうだね。
瑞希くんはあんな最低な人とは全然違うよね。



