誰よりも大切なひとだから。




「いったん休憩しよう」


先生の声でホッとしながら、教壇を下りた。


「わんちゃん!きんちょーした!」


講師役第一号であるわんちゃんに泣きつく。


「もう、声が震えそうやった。しかも、あんな説明でみんな分かってくれたかな?」


一人一人に教えるなら、コミュニケーションを取りながらできる。


でも、今回の相手は40人だ。


ぼんやりしてる人もいたし、明らかに顔が焦っている人もいた。


分かってくれたんだろうか?
あんな説明で。


私ひとりが喋り続けた講義になっていなかっただろうか?


「大丈夫。めっちゃ、わかりやすかったで!彩ちゃん」


わんちゃんを取り囲む女子たちが、そう言ってくれる。


「そうやで。わしより、落ち着いてたやん」


一人称が何故かいつも『わし』であるわんちゃんがそう言ってくれる。


「そうやそうや。自信持てって。わんちゃんより、お前のほうが落ち着いてたぞ」


東先生が煙草片手にそれだけ言って去っていった。


このまま、外で喫煙のご様子。


「わんちゃんのほうがワチャワチャしてる」


「彩ちゃんのおかげで、わかるようになったよ」


講義に使ったプリントで顔を隠した。
不覚にも、涙腺が緩む寸前だったからだ。


「みんな、ありがとー」


たとえ、私を慰めるためのお世辞であっても、嬉しいよー!!