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剣道と言ってもまぁ、服装は普通に体操服だし、面と胴をつけて、技を覚えるのがほとんど。


授業をやってきて、早9ヶ月過ぎた。


この頃は女子同士、男子同士に分かれて試合をする。


女子は人数が少なく経験者もいないため、みんな和気あいあいとしていて、本格的な試合ではなく、楽しさ半分でやっているのだが、男子はそういう訳にはいかない。


さっきからひっきりなしに、竹刀と竹刀がぶつかる激しい音が響いている。


叫び声。踏みしめる足音。
面を打つ音。


声援。


長野くんは、小柄な身体で、20センチは高い、相手に戦っている。


「胴!」


竹刀同士がぶつかる音がした。


長野くんの技は上手くかわされてしまう。


「長野くん。普段はそうでもないけど、剣道のときはかっこいいよね」


普段はそうでもないけどの部分は余計であるが、試合の手を止め、思わず男子の試合に見入っていた真由美ちゃんに頷いてしまう。