誰よりも大切なひとだから。



ちょっと残念な気持ちで、お菓子を見つめていると、こんこんと腕を軽く叩かれた。


左を見ると、長野くん。


「お菓子、半分こしない??」


すぐ目の前で、細められた瞳。
持ち上げられた唇から覗く白い歯。


キュンと胸が締め付けられて、慌てた。


……何。今のキュンって、何??


「俺もお腹あんまり空いてないからさ。よかったら、一緒に食べよ?」


……優しいねんな。長野くん。


私なんかに、お菓子半分分けてくれるとか……。


みんな、気持ち悪がって、しないのに。


「……近藤さん?」


彼の声に、ハッと我に返った。


「ううん。私ほんまに、お腹いっぱいやから。……ごめん」


俯いた。
突然訪れた、心の揺れに直視できなかった。


「……ごめん、ね」


申し訳なかったけど。
せっかく言ってくれたのは、とても嬉しかったけど。


……だめ。食べれない。


不意打ちの優しさにドキドキしてて、食べ物が喉を通りそうにないから。


「大丈夫だよ。あれだけ食べたら、満腹なるよな」


長野くんは、明るい声で言ってくれた。