誰よりも大切なひとだから。




『本当にごめん。これは近藤さんが悪いって訳じゃなくて、俺自身の問題やねん』


叫びにも似たその声を聞いた瞬間。
私は庇護欲に似た感情が溢れ出しそうになった。


守りたいと、思った。


その笑顔に隠した弱さ。
優しさの裏の脆い心。


長野くんの繊細な心が傷つかないように、守りたいと思った。


『ごめん。俺は自信がない。近藤さんを幸せにする自信が……』


"幸せ"なんてしてもらうものじゃない。
自分で見つけていくものなのに。


そう言いかけてやめた。
お菓子を買ってもらえなかった駄々っ子みたいだ。


駄々をこねて、これ以上彼を苦しめるのは、よそう。


未練たらしい女は嫌いだ。


「それが長野くんのよく考えて出した答えなんだよね?」


『うん』


力強い返事に安堵する。


少なくとも彼は本気で私の想いに向き合ってくれた。


それだけで充分ではないか。
他に何を望むんだ。


「だったら、わかった。私は長野くんの気持ちを受け入れるよ」