彼は一度吐息して、それから言った。 『……近藤さんは、俺にとって、"誰よりも大切なひとだから"。 だから、傷つけたくないんだ』 傷つかないかもしれないじゃない! そんな強気なことを、私は言えなかった。 彼の気持ちが、痛いほどよくわかる。 誰かを傷つけてしまうことは、そっくり自分の傷となり永遠に残るから。 現に今もこんなにも苦しい。 長野くんが今、私が傷つくのを感じて、新たな傷を刻んでいるから。 長野くんが傷ついているから。 だから、苦しくて、苦しくて、辛い。