手が届く場所

「冬馬はさ、潮崎春馬の兄貴でしょ?」


俺と加藤和希の関係性を語る上で、
いきなり呼ばれた自分達の名に驚いた冬馬は

戸惑いつつも頷いてくれる。


それを確認した上で
俺は話を続けた。


「俺はさ…

加藤和希の'弟'なんだよ。
苗字が違う、つまり義理の兄弟。」


俺達二人の関係性。
それは間違いなくこれ。

'義理の兄弟'


それは、お互いに認知していることだ。


「え、まじで?
それって…、

優希ーマサキー君も知ってるの?」


優希は…


「知らない。」


俺の弟は、ただ一人、何も知らない。


まさか冬馬の口から優希の名が出るとは思わなかったが、

なかなか痛い所を突かれたと思う。