私が彼を好きな理由。

そして家の近くの河原に座って、川を眺めてた。
今までのことを思い出しながら…。





紫苑くんはここには来る筈がない。
だって私の家なんて知らなくて、しろうともしなかった。





「私ばっか好きだったのかな。」





自然と涙が溢れてくる。
私ばっかり好きで、私ばっかり求めてた。




「恋!」






振り返ると息を切らした紫苑くんがいた。


「なんで…?」




「ったく。俺を走らせやがって。」



「なんでここって分かったの?」



「…お前なんも知らねえな。」





そう言って私の隣に座る紫苑くん。




「俺は、ずっと恋が好きだった。」



「へ?」




「やっと告白できたと思ったのに、あんな言葉になって、ごめんな。」





「…。」




「なぁ。俺だけの恋でいろよ。俺だけ見てろよ。」




「…見てるよ。」




「俺だけのために存在しろ。俺の隣で笑ってろ。」




「…紫苑くん?」





「恋にうまく接することができなくて、ついあんなことをしてしまった。」





紫苑くんは紫苑くんなりに苦しんでて、
私を好きでいてくれた。




「ありがとう。」



「恋、好きだ。」




「私も好きだよ。」





それから紫苑くんの態度はみんなの前では変わらないから、みんな未だにどこがいいの?って聞いてくる。


だけど、二人になったら素直になってくれるから、そこがすごく好き。
みんなには言わないけどね。