私が彼を好きな理由。

「ねぇ、あれ五十嵐くんじゃない?」





「麗美さんと歩いてるなんてお似合い〜。」







そんな言葉を聞いて廊下に出ると、
学年一の美人の橘麗美ちゃんと私には見せてくれたことのない笑顔で話してた。




私の気持ちはこの時抑えきれなくなった。





気づいたら紫苑くんの前に立ってた。






「あれ、恋なんか用か?」





平然とした顔で言ってくる紫苑くん。
少しでも焦ってくれたら許せたのに。





「ねぇ…、紫苑くんにとってなんなの?」




「は?彼女だって言ってんじゃん。」




「好きも言ってくれたのこともないのに?手も繋いだことないのに?私はぱしられてるだけだよ!」




「恋落ち着け。」





「落ち着けないよ!今まで不安があっても我慢してきた。きっと好きでいてくれるはずだって。だけど、今日麗美さんに向けてた笑顔を見てわかったよ…。」




「なにが。」



「紫苑くんは私のことなんて好きじゃない。私に笑いかけてくれたことなんてない。もう限界だよ…。」





私はそう言って荷物を持って学校を飛び出した。