煩いHoney


わたしは怒りを押し殺しながらティッシュを一枚引き抜いて、


「返せるの?」


日ごろ思っていて言えなかった一言をついに言った。

ただでティッシュをあげるのは小癪だった。


でも、たとえば強い言葉で言い返せば柿谷に対して負けを認めることになるし、正直に嫉妬をさらしたくもなかったから、そうじゃないことで反抗するなら嫌味しかないと思った。


「は、なにそれ。返せるわけねぇじゃん。それとも使ったティッシュほしいわけ? だったらほれ」


そいつは笑って一蹴した。