「悪いけど、日曜は先約があるの」 「え」 「お先に失礼」 「おっ、おい。滝井!」 情けない声に、わたしは肩を小刻みに揺らしながら廊下を進んだ。 そんなに簡単だと思わないでよね。 ちょっと情けをかけたからって安心して、すぐまた足元見られたらたまんないっての。 わたしにそっぽ向かれてなにかしら感じるものがあったのなら、わたしとおなじくらいせいぜいあんたも傷ついて、悔しがって、不安に駆られて必死なればいいのよ。 ほくそ笑みながら校舎を出る。