あいつの日本語はやや、雑だ。 「なあ滝井、ノート貸してくんね」 これは普通。 「なあ滝井、ペン貸してくんね」 まあ、これだって許容範囲。 問題はこの先。 「なあ滝井、シャー芯貸してくんね」 …シャー芯、貸す? 不自然な日本語だ。 でもとりあえず言いたいことはわかるから渡すけど。 返してくれるのかな、って我ながらケチくさいことを考えながら待ってみる。 でももちろんそんな気配は微塵もない。 いつだって。