「まぁ、でも、卒業までこのクラスだしさ。
ナツキも頑張ってクラスに馴染もうよ」

「…頑張らなきゃ馴染めないなら頑張らなくていいよ。
アヤだっているし」


ナツキは人付き合いが本当に苦手なんだと感じた一言だった。



「それはそうと、コバとは仲良くなってるの?」

「うん!順調だよ。今日も小林くんの家いくし」


順調が幸せで仕方なかった。
大きな喧嘩もしないし、何より彼も私も互いを大切にしていたから。


「幸せそうで安心した」
ナツキは母のように私を見てくれる。
泣き言を言っても「はいはい」と聞いてくれるし、ノロケ話も嫌な顔一つせず付き合ってくれる。

だから、ナツキといるのは安心そのもの。



「…で?もうやったの?」
「やった?何を?」
素っ頓狂な顔をした私を見てナツキは驚いたあとに、はぁーとため息をついて耳元で囁いた。


「…エッチを」
「え…っっ!!?」

シーと私の口元を塞ぐ。
みるみる顔が赤くなるのが分かる。


「やだ!し、してないよ!てか、しないよ!」
「どうして?」
「ま、まだ未成年の分際でおこがましい!」
「…真面目か!そんな変なことでもないよ。
自然の摂理じゃん。
良いもんだよ。不安なんて吹き飛ぶし、絆も深まるよー」


ナツキはそう言うけれど、別に今の付き合いに不安も不満もない。

そんなことをしなくても大丈夫だもん。
赤ら顔に手で風を送りながらナツキに主張した。