飲み物持って行くよ。階段上がってすぐの部屋だから。
そう言うと、彼はキッチンへ行った。
可愛らしい螺旋階段を上る。
良く表現されるギシっと軋む音なんて無縁だった。
彼が言った通り、階段を上り切った所にドアがある。
「ここ?」周りを見渡したが、同じようなドアが四つ。
きっとここだろうと、ドアを開けた。
男らしい黒を基調とした部屋。
私の部屋より綺麗だと思った。
服が散乱されているわけでもない。
本棚には本が几帳面に並べられている。
ドアの前で立ち尽くしていると
「どうしたの?入りなよ」と後ろから声が聞こえた。
「うん。…なんかドキドキしちゃって」
「…あはは。…俺も。女の子入れたのなんて中学生の時に付き合ってた彼女くらいだもん」
…………
ギューっと胸が締め付けられる。
痛い、イタイーー…
私以外に入ったことのある部屋。
ここでどんなことをしたの?
私の知らない小林くん。
でも、それは知りたくなかった。
ーー…『嫉妬?可愛いね』
シンさんの言葉が思い出される。
私、嫉妬しているーー…


