「俺は…さ。
ミツルん家行った時のアヤを見てて
あぁ、これ俺はダメなんだろうな。って思ってた。
調子乗って酒飲んだりしたしね」

まさか、中島が好きとは思わなかったけど…
と、彼は続けた。
切なくて、切なくて…苦しそうな顔をしていた。


「上手くいかないもんだよな」
「…そうだね」

肯定するところじゃないかもしれない。
けれど、否定するのも違うと思った。

上手くいかない。
そう言った彼がとても辛そうで…



「でも、俺はアヤが俺を好きになりたいって言ってくれたことが嬉しかった。

なのに…なんで……中島なの?」

彼は泣いた。静かに泣いた。
声がとても震えていたから、胸が痛くなる。



「…俺じゃダメ?
雰囲気とか、そんなんじゃなくて
俺を好きになってはくれない?」

“小林くん”を…好きに……?



先輩も中島くんも
雰囲気が好きだと思った。
私は彼らを…彼ら自身を見たことはない。

がむしゃらに、突っ走ったこともない。

傷つくのが怖かった。
私なんかを好きになってはくれない。
そんな思いもあった。