こうして、ぼくがFを取った理由が、ぼくの頭の出来の問題ではなく、ただアメリカの学校での宿題の重要性を知らなかっただけだということがわかり、ぼくたちは何もすることがなくなってしまった。というわけで、ぼくたちは、残りの空いた時間を、自分たちが出会うまでの時間を埋めるのに使うことにした。
ぼくたちはまるで、この日に再会することをずっと待ち望んでいた古い親友同士のように、お互いのことを知りたがった。
ぼくは日本での学校生活のこと、家族のこと、好きなテレビ番組のこと、原宿や渋谷のお気に入りの店のこと、そして美耶子は、大部分は質問だったが、ハワイでの日々や、土曜日の日本語学校のこと、そして、英語と日本語をどのように使い分けているかなどといったことを教えてくれた。

これまでの半年間は、毎日が苦痛でしかなかった。日本に帰りたくて仕方がないぼくにとっては、この自由の国も、ただの巨大な牢獄でしかなかった。しかし美耶子と話していると、日本に居たときにすら感じたことのなかったような自由を感じていたのだった。