「神楽坂くん、君不安そうだね?」

「え…まぁ…」

「無理もないね。
いきなりスカウトされてこの世界に飛び込むなんて。
しかもそんなにこの世界は現実味がない。
今まではテレビの前で見ていた世界だろ?
誰もが一度は憧れる世界かもしれない。
確かにきらきら輝く夢の世界のように見えるかもしれないね。
でも実際はね?
そんなに甘くないんだよ。
たくさんの挫折や気苦労もあるし、上下関係やマナーにも厳しい。
ここで成功する人なんてほんの一握りなんだ。
皆、その一握りに入ろうと必死にもがく。
大変かもしれないけど、君が今から飛び込む世界はそんな世界なんだよ?」



隣のお母さんの目がさっきと変わった。
本当にできるの?そんな目で見られている気がする。
だけど、答えは決まってる。
俺にはこれしかない。


「決めたんです。
一度決めたことは最後まで全力でやり遂げます。」


その一言を聞くと社長は打って変ったやさしい笑顔に戻った。


「その言葉を聞きたかったんだ。
その決心があるなら大丈夫。」