「美波ちゃん。
なんか緊張しちゃうね。
こんな風に話すのなんて初めてだし。
…で、美波ちゃん。
美波ちゃんはさ、蓮が大好きでしょ?」


「え…。」



大好きってそんなの…。
決まってるじゃん。
大好きなんて一言で済ませることできないよ。



「そうだと思った。
蓮ね、僕に美波ちゃんのこと教えてくれなかったんだ。
だけど、すぐわかったよ。
蓮が美波ちゃんを誰よりも考えて大事にしてるんだな、って。
僕実は昔から蓮みたいになりたかった。
いつも一緒に遊んだりしてたけど、蓮に追いつこうと思っても追いつけなかったんだ。
だから蓮がサッカーをやるように自分も何か夢中になれるものが欲しい。
そういう意味でダンスを始めて、そしたら今の事務所に声をかけてもらって。
だから蓮が事務所に入ると聞いたとき、すごくびっくりした。
始めまして、なんて言ったけど覚えてたんだよね。
蓮、変わってなかったもん。
昔みたいにすごく輝いててかっこよくて、僕のあこがれの蓮のままだった。」



そういって奏楽くんは目をつぶる。
目をつぶる奏楽くんはまるで違う世界にいるかのようだった。
何かを思い出すように…。