「申し訳ないし、悲しいことを言うようだけど。
本当のことを言うのはいくら美波ちゃんといえども許されないと思うよ。
もしそれが世間の誰かの耳に入った時にすべてがだめになっちゃうからさ。」


「そっか。
そうだよな。
奏楽、お願いがあるんだけど。」


「うん。
蓮のためならいいよ。」




こんなことを頼むなんて本当に酷だなって思うけど。
今の俺が美波のためにしてやれることを考えると、これしかないのかなと思うんだ。
本当はここまでなる前にしっかりと守るべきだったのに、現実はそう簡単にいくものではなくて。
複雑に交わるもので。
だからとても難しい。
そして人の力の大きさを感じる。
奏楽がいなかったら乗り越えられないことだったと思う。
奏楽がしっかりと支えてくれているから、奏楽がいてくれるから。
乗り越えていける。
なんてそんなの本人には絶対に言えないけど…。




いつかちゃんと大きくなって美波を守れるようになったら、必ず美波を迎えに行くよ。