蓮と話したかったけど、話せそうにないな。
蓮はというと一人ひとりの声に必死になって反応してる。
蓮、やさしいんだもん。
こういうところが好きなんだけどさ。
でも、ずるいよ…そのやさしさ。
時々そのやさしさが悲しくなるんだよ?蓮。

「ま、あれじゃいつになっても解放されなさそうね。
行きましょ、美波。
1限テストだし勉強しないとまずいでしょ?」

「そうだね。
真衣ちゃん、教えてよ~」

「やだ。」




隣のクラスっていうのがすごく嫌だと感じる一日だった。
蓮はこんなにも近くにいるんだよ。
それなのにこんなにも声をかけられなくて。
こんなにも寂しいと思う。
そんな思いをすることになるなんて。


「神楽坂ってば、まったくなんなんだよ。」

「真衣ちゃん。」

「ちょっとあたし一発言ってくるわ。」

「真衣ちゃん!!お願い待って!!」

「だっておかしいと思わない?
こんなにも会いたいと思ってる美波を置いておくなんて。
普通なら…」

「いいの!!!!!
あたしはわかってるから。
蓮はね、ファンを誰よりも大切にするの。
そういう人なの。
そういう蓮だから好きなの」

「…美波。」


「あたしはさ、大丈夫だからさ。
ありがとう。真衣ちゃん。」