「おはよう、郁人!」
「おはよ」
郁人は眠そうに挨拶を交わす。
あたしたちは登校も一緒。
家が隣同士だから、家を出ればわかる。
また今日も蒼汰がいなかった。
「蒼汰、また寝坊かな?」
「置いてく」
「あ、郁人待って!」
郁人は欠伸しながら歩き出す。
どうしよう…蒼汰まだ来ないのかな。
すると、隣の家から誰かが出てきた。
「蒼汰!」
「おー、おはよ」
「もう、遅いよー」
「悪ぃ、寝坊した」
「郁人先に行っちゃったよ」
「マジかよ。真尋は待っててくれたのか?」
「うん。蒼汰が心配だったから」
「え!?」
「蒼汰、今日学校あること忘れてないかなーって思って」
「…んだよ、そういうことかよ。つーか、普通忘れねぇよ!」
「それより、郁人を追いかけないと!」
「おい、ダメだろ。あいつのために走んなくてもいいだろ」
蒼汰に腕を掴まれ、走ろうとしたあたしは止められる。
…あたしだって、もう子供じゃないのに。