「でもまぁ、」 頭から降ってくる朔の声にもう一度顔を上げる。 そこにはもう悪魔はいなくて、たぶん私にしか見せてくれないであろう、優しい表情をしていた。 「今美丘に俺がかっこよく映ってるなら、それでいいよ。」 自惚れてるかもしれない。 でも、こんな表情もこんな言葉も、今は私だけのものだ。 「老後を楽しみにしてるよ。」 「やかましいわ。」 私たちは今日も幸せだ。