幸せ、なんて。



「行ってきます。」


父さんが仕事に行ったら、まず俺は顔を洗う。


鏡の前で笑顔を作る。


…これは俺の日課だ。


昨日の傷が見えてないか確認して、まあ、大丈夫かな、なんて。


「…行ってきます。」


テーブルの上の母さんに申し訳程度の挨拶をして。


ああ、また行かなきゃいけないんだ、って。


「7時です!おはようございま…」


うるさいテレビを黙らせて俺は静かに家を出た。