三秒間



急いで顔を洗い、歯をみがいた後、薄くナチュラルメイクを済ませ、学校指定のかばんを持って階段を降りる。


「あ、朱里、おはよう」


「お母さん、何でもっと早く起こしてくれなかったのっ」


リビングにいたお母さんに、思わず八つ当たりする。

「やだ、ずっと起こしてたじゃない」


「聞こえなかったもん」


私は玄関に向かって、下駄箱から下ろし立てのローファーを出して履く。


「ご飯、食べないの?」


「時間ないからいらない」

「だけど、食べないと体に悪いわよ」


「間に合わないもん、行ってきまーす」


そう言って、私は家を出た。