急いで顔を洗い、歯をみがいた後、薄くナチュラルメイクを済ませ、学校指定のかばんを持って階段を降りる。
「あ、朱里、おはよう」
「お母さん、何でもっと早く起こしてくれなかったのっ」
リビングにいたお母さんに、思わず八つ当たりする。
「やだ、ずっと起こしてたじゃない」
「聞こえなかったもん」
私は玄関に向かって、下駄箱から下ろし立てのローファーを出して履く。
「ご飯、食べないの?」
「時間ないからいらない」
「だけど、食べないと体に悪いわよ」
「間に合わないもん、行ってきまーす」
そう言って、私は家を出た。
