氷の唇、熱い狩人





逃げられない。


目の前には相原 玲、後ろは壁。


背水の陣ならぬ背壁の陣。なんかおもしろい。


でもこの状況だと一カケラも笑えない。



「あ、の……ど、したら、ゆ、るして、」



真っ白になりそうな頭の中で、かろうじて覚えていたこと。


というかもともとそれを聞いたのに、なんでこんな妖しい雰囲気になったんだろうか。


思考の海にどっぷり浸かってしまおう(いわゆる現実逃避)とすると、それを許すまいとわたしと相原 玲の距離が縮む。



「ふぁ!?ちょっ、」


「逃げるな」



低く囁き、わたしの足の間に自らの足を差し込み、わたしの動きを更に制限する。


その滑らかな動きのなんのって……ムカつくぐらいだなおい。


いやいや、今はそんな感情どうでもいい。


それよりこの体勢……ひっじょーに妖しい。


な、なんか、ち、ちち、近いし!!


顔だけじゃなくて体までピッタリと密着していて、こんなに近いとわたしの心臓がバクバクしているのがバレそうで怖い。