「ーーーえっとじゃーあー
俺はアイスミルクティー1つで!
君は何がいいっ?」


「…え?あ、あの…」


「ん?」


「じゃ、じゃあ同じので……」





結局私はいきなり現れた謎の男に、無理やりカフェに連れてこられてしまった。



しかもまあ、結構なオシャレなところで、完全に私は浮いているという。



「いやーでもよかったぁ!!
こうして一緒にお茶してくれる人がいてさ!」



いや、半ば無理やりお前が誘ってきたんだろ。



「まじ俺感動だわー!
涙ちょちょぎれるー!ふぅー!!」


「………」



男はおそらく20代後半。


上下とも白スーツを身につけていて、中には薔薇のように真っ赤なシャツを、胸元をざっくり開けて着ている。


少し長めの金髪はワックスでお祭り騒ぎ。



はっきり言います。



ーーーくっっっっそキモい!!!!







「んでさぁ、こーでさぁ、あーでさぁ!」



男は絶え間なくしゃべり続けている。


でもはっきり言って、何を言ってるのかさーっぱりわからない。



どうしてだろう、頭が痛くなってくる。


こいつの声が呪文に聞こえてくる…





「そういえば君、名前なんていうの!?」


「え?」



突然、男は私の名前を聞いてきた。


子犬みたいに目をキラキラと輝かせているが、全然可愛くない。むしろキモい。




本当は教えたくないところだけど…

まあ名前くらい教えてやってもいいか。



このお茶が終わったら自殺再開することだし、自分が損することは一つもない。




「…暗川です」


「クラカワ?」


「はい」



私が名乗ると男は腹を抱えて笑い始めた。



「あはははははっ!!君クラカワって名前なの!?へんな名前だなぁおい!
何?歴史上の人物!?豊臣さんと仲良さそうだなぁ!!!」





キモい上にイラっとくるなこいつ。






「ち、違います…
暗川は苗字です。名前はひかる」



「へぇーひかるちゃんねー」