「ーーーよし、じゃあお腹も減ったし飯にしよう!今日はチャンぴかもいるから豪華だぞ!
隣の部屋に用意してあるから、みんなそっちに移動しよう!」



「うおーー!!食うぞ!飯!」



パピヨンが声をかけると、すぐさま駆け出したのは兄貴さん。


豆腐ちゃんも「お腹すきましたですー!」と言って、部屋を出て行った。



「パピヨン悪いわね、私はちょっと仕事があるから行けないわ」



逆立った髪をくしでとかしながら、ニオさんはそう言った。



「ああ、構わないよ!」


「んふ、それじゃ」



ニオさんは私の方を横目で見ると、またウインクをした。



「それじゃあね、子ねずみちゃん」






ーーー部屋に残ったのはパピヨンとウツボ。



ウツボはものすごく足が遅いらしく、移動しているのはしているが、そのスピードはもはやかたつむり並。




「よし、チャンぴかも行くぞっ!」


パピヨンはそう言うと、私の縄をやっと解いてくれた。



「いったぁ……」



ずっと縛り付けられていたせいか、体のあちこちが痛くてしょうがない。



「ごめんよチャンぴか、縛ったりしちゃってさー。でも、絶対逃げるだろうなって思ってこんな手使っちゃったんだ」



パピヨンは少しだけ申し訳なさそうな顔をした。


いやいやいや、いくら逃げられたくないからって歓迎会で縛り付けるのはどう考えても反則だよ?



「ま、とりあえず!料理はかなり美味しいはずだから、思う存分たらふく食ってくれ!!
ーーーよし、行こう!」


「うわぁ!」


私はまたもやパピヨンに腕を掴まれると、そのまま隣の部屋に引っ張られてしまったのだった。





「ーーーおーい…、誰か運んでーー…」
(ウツボ)







ーーーこうして私は、どこからどうみてもヘンテコなアパート住人の仲間入りを果たしてしまった。




このとき私は思ってもいなかった。


このアパートの住人たちに、こんなにも自殺を妨げられるなんてーー…